約束のエンゲージリング
沙羅姉の言葉に兄も立ち上がり、由羅ちゃんの手を引いて玄関へと向かいながら彼に声を掛けた。
「そういう事だから俺らは帰るわ。マサ、引っ越しありがとな。男手があって助かった。お前も忙しいと思うけど、たまには飯に誘えよ。」
『今は沙羅ちゃんが大事な時でしょ。2人目が産まれたらガンガン誘わせてもらうよ。沙羅ちゃんも無理はしないようにね?それと由羅ちゃん、今度家まで遊びに行ってもいいかな?千佳と一緒に。』
私同様、彼が大好きな由羅ちゃんは嬉しそうに声を上げた。
「うんっ!絶対だよ!!千佳ちゃんと一緒にね!!!約束!!」
『うん、約束。』
優しく微笑んで由羅ちゃんの頭を撫でる彼の表情は私の時に触れる時とは少し違って、客観的に見て今更ながら違いに気づいてしまう。
近すぎて気付かなかったのだろうか。
ぼんやりと兄家族と彼のやり取りを眺めていると気づけば部屋に1人になっていて皆んなの声のする方へと向かうと車に乗り込んでいる姿。
今にも車を発進させようとしていて、慌てて道路へと走り出すと車の近くにいた彼に強く引き寄せられた。
『こらこら!大人になって道路に飛び出すなんて、、千佳慌てすぎだよ。そんなに急がなくても大丈夫だから。ちゃんと千佳を待ってたから。』