約束のエンゲージリング
突然の訪問にイライラして、つい冷たい口調で言葉を返せば困ったように悲しそうに笑った彼女。
「、、本当にそうだったかな?確かに私は最低な女だったよね。主人がいることを隠して正巳と付き合ってたんだもの。あの頃、主人が大阪に転勤になって新婚だったのに置いていかれた事が寂しくて、その上向こうで浮気までしてるって知って、、そんな寂しさを埋めたくて貴方に近づいた。でも貴方の優しさに触れるたび、本当に好きになって貴方の事を本気で愛するようになってた。だから気づいたの、、貴方の心が別の所にあるんだって。、、、違う?」
射抜かれるような視線に不意に目をそらす。
「正巳を責めてる訳じゃないの、、。あの頃の正巳は本当に優しくて私の事をちゃんと大事にしてくれてた。だから私、凄く幸せだった。それでもやっぱり人は欲張りだから、、正巳の1番が欲しくなっちゃったの。、、さっきのスタッフの子に聞いたよ。まだ独身なんだって、、?それって結局、正巳も叶わない恋してたって事でしょ。もし、正巳が幸せになってるなら諦めようって思ったよ。でもっ、、そうじゃないなら私っ、、!」
涙を浮かべなら抱きついてきた彼女。
昔はよく、そんな華奢な彼女を抱き止めていた。
でもあの頃は抱きしめれば抱きしめるほど罪悪感が顔を出して、それを隠そうと必死だった。
決して手に入らない愛しい子。
それが分かっていたから他に目を向けようと必死だったあの頃。
そんな時だった。
彼女と出逢ったのは。