約束のエンゲージリング
























彼女を長い間、、身代わりにしていたのだと。




















初めて彼女を見た時、似ていると思った。







だから出勤時に通る彼女をまだ幼いあの子が大人になった姿と重ね合わせ、自然と目で追っていたのだ。


9年間、彼女を自分の身勝手な感情に振り回しておいて彼女を責める権利などある訳もない。

寧ろ最低だったのは自分の方で、翌日彼女から夫の存在をカミングアウトされて別れを切り出されても、それを被害者ヅラをしてすんなりと受け入れた自分に嫌悪感さえあった。



その事で暫く落ち込んで腐っていた時期もあったが、あの子が高校を卒業しうちの店に就職してからは徐々にそんな事は忘れ穏やかな日常へと戻っていった。

また誰かを傷つけるくらいなら一層このまま独りで生きていこうと決め、今まで以上に兄妹のようにあの子に接した。








それでも汚れを知らず大人になったあの子は、こんな汚れきった自分をずっと好きだったと言ってくれた。






あの子への感情を隠すのも限界を迎え、初めて自ら手を伸ばせばその手を強く握り返してくれた最愛なヒト。





しかし自分の犯した罪も忘れ、自分だけが幸せになろうとする事を神様は決して許してはくれないのだ。

< 240 / 284 >

この作品をシェア

pagetop