約束のエンゲージリング
その日の事は大量にアルコールを飲んだ以外の事はあまりよく覚えていない。
次の日、目が覚めるとどうやって帰ってきたかさえ分からないが自分のベットの上にいて、隣には何も身につけず眠る彼女の姿とベットの周りには酷く散乱した互いの服。
それらの事から、黒い感情に任せて彼女を酷く抱いた事だけは容易に想像できて罪悪感と後ろめたさに押し潰れそうだった。
目が覚めた彼女は、記憶がない自分に呆れながらも笑って許してくれたがシャワーを浴びて部屋に戻るとベット上で膝を抱えて酷く傷ついた表情をしていた。
それから1週間後、彼女の部屋に呼びだされ貰っていた合鍵を使って中へ入ると玄関には彼女のモノと別に見覚えのない男性のモノだと思われる革靴。
奥の寝室から聞こえるベットの軋む音と彼女の艶かしい甘い声。
ゆっくりとそちらに足を向ければ想像通りの光景が広がり、見知らぬ男に恋人が激しく抱かれ自分ではない男の名前を呼んでいる彼女の姿を見て最初に降りてきた感情は安堵。
普通ならば恋人の裏切り行為をまざまざと見せ付けられ、込みあげてくる筈の怒りや哀しみは一切なくホッとした自分がそこには居て、この時完全に気づいてしまったのだ。