約束のエンゲージリング
眩しいくらいの笑顔で手を振り、店を出て行ってしまった彼女。
彼女のお陰でずっと抱いて罪悪感が少しだけ薄れた気がした。
犯した罪は決して無かった事には出来ない。
それならばその事から目を逸らさず、真摯に受け止めて前に進むしかないのだと彼女に教えてもらった気がする。
自分のした事が許されなくても、受け入れてもらえなくても正直に話すべきだと思った。
時計を確認すると営業時間はとっくに過ぎていて、直ぐに店じまいを始めた。
気がかりなのはあの子の事。
真面目なあの子が就業時間前に仕事場を飛び出していくなんて余程の事だ。
今まで体調が悪くても一度もない事だ。
、、酷く傷つけたに違いない。
もしかすると、もう二度と話も聞いてもらえないのかもしれない。
そう考えただけで全身が冷えていくのがわかる。
取り敢えず電話をしてみるが、案の定繋がらない。
店の片付けも疎かに携帯と財布だけを持って店を飛び出した。
初めにやってきたのは勿論、彼女の部屋。
予想通り明かりは付いてなく、気配はまるでない。
チャイムを鳴らしてはみるが応答はない。
人目も気にせずにドアを乱暴にノックする。
『千佳っ、、!千佳っ!!』