約束のエンゲージリング


この期に及んでまだしらを切る女性を見て怒りが頂点になり、掴んでいた女性の服を離しロッカーへと指輪の入った紙袋を取りに行った。

そしてそれを持って女性の待つ店へと戻る。










もう冷静でなんていられなかった。




本来、私から手渡すモノじゃないと分かっているのに彼の想いを踏みにじられたような気がしていても経ってもいられなかった。


紙袋からリングケースを取り出し、女性の身体に押し付ける。










「これがその証拠ですっ、!!」




驚きつつも、女性は私からリングケースを受け取り静かにケースを開けた。


しかし女性は光輝くエンゲージリングを見ても、悲しそうに目を伏せるだけだ。







「これ、私にじゃないわよ。何を勘違いしているのか知らないけど、正巳の想い続けていた女性は私じゃない。きっと、このエンゲージリングだってその女性に贈るつもりだったのよ。」

「っ、、リングの裏に文字を見て下さい!!それを見てもまだそんな事言えますかっ、、!?!?」







私の言葉に怪訝な表情をしながら、リングをケースから取り出しリングの裏の文字を見た女性。

その瞬間、女性は目を見開き、暫くその文字を見つめてから困ったように笑った。



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