約束のエンゲージリング
「正巳が一度だけ、私を酷く乱暴に抱いた事があるの。確か、、正巳が31歳になる年だったかしら。介抱しに行った時にはもう凄く酔ってて、手がつけられない状態だった。そんな正巳を見るのは初めてで、何故そんなになるまで飲んだのか理由は頑なに教えてくれなかったけど、私を抱きながら何度も私じゃない名前を呼んでいたわ。次の日、正巳は全く覚えてなかったみたいだけど私は一生その名前を忘れる事はなかった。貴方、初めての彼はいつ出来た?」
「なんでそんな事、、。」
「いいから。」
彼と全く関係のない事を聞かれて、言葉を濁すと真顔で圧をかけられる。
「、、16歳だった思いますけど、、、。それと今の話が一体どう関係するんですか?全く関係ないと思います。」
仕方なく小声で答えると女性はクスクスと笑いだした。
「あら、本当にそうかしら?貴方こそ、そんなに長い間正巳を見てきたのに、正巳の事は何も分かってないのね?」
「っ、、、!」
「だってさっきの正巳の話と貴方の初めての彼氏が出来た年って同じじゃない?それでもまだ分からないの?、、さっき貴方私に言ったわよね?〝どうしてそんな事も気づかないの?〟って。その言葉、そっくりそのまま貴方に返すわ。よく考えてみるといいわ。きっと真実にたどり着けるから。」
優しく私の手の平を引き寄せ、リングケースまで導かれる。