Legal office(法律事務所)に恋の罠 *番外編~ジェラシーは内密に~
「実は・・・」

「実は?」

この単語の繰り返しのやり取りが、奏と和奏の間では定番になりつつある。

普段なら楽しいと思える状況だが、今はちっとも笑えない。

奏は、

「ほら、和奏。教えて」

と、和奏を急かした。

「生理痛、なんです・・・」

「生理、痛?」

「はい、毎回ではないのですが、私の場合、年に1、2回立っていられなくなるほどの生理痛がありまして・・・」

和奏の話によると、ここ数年、忙しく、痛みもなかったため婦人科の受診もしていなかった。

一昨日は、急な生理痛でフロント近くの壁に手をついて休んでいるところに、三浦マネージャーが通りかかり、心配してくれたのだと語った。

「三浦マネージャーのお母様も、同じように月経困難症に悩まされていたので、私が生理痛だって簡単に推測できたそうです。子宮筋腫の疑いがあるから、婦人科にはかかった方がいい、とまで助言をもらいました」

和奏は苦笑しているが、奏は腑に落ちない。

「なぜ、三浦マネージャーが和奏の悩みを知ってて、俺が知らないんだ」

「そう言われても、このところ、奏さんはファン氏のパーティで忙しかったし、紫織さんにも絡まれているし、余計な心配をかけたくなかったから・・・」

いくら奏を心配してくれているとはいえ、これから夫婦になるのだ。

何でも和奏のことなら知っていたい。

お互いを思いやっために言葉が足りず、二人の関係が崩れてしまうなんて本末転倒だ。

「ごめん。俺に力量がないばかりに和奏に気を遣わせたんだな」

「いえ、小池くん以来、男性とお付き合いしたことがなかったから、どこまで話したらいいのか距離の取り方がわからなくて」

小池、という名前が出て、奏の中の嫉妬心に火がつく。

「小池さんは、その、和奏の体のことを知ったのか?」

「1年半付き合ってましたからね。今回みたいに重症になったのはその間2回程でしたが、側で看病してくれましたね」

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