片想い同盟
「そう。今日、北高との練習試合なんだよ。久々だからみんな気合い入ってんだ」
もちろん俺もね、と笑う優希くんは、きっとスタメンなんだろう。あとはまぁ、拓海も。
「あっ、そうそう、唐沢だよね。うーん、たぶんベンチにいると思うし、俺渡そうか?」
「えっ、いいの?」
「もちろん。それに、あのギャラリーの中を遠山さんが入っていくの、大変でしょ」
苦笑気味で優希くんが指差す先は、ピッチ周辺を囲むように待ち構えている女の子たち。
サッカー部ファンの女子たちだろう。さすがにあの中を通って拓海にタオルを渡すのは、ちょっとまずい気がする。
あいつ、意外と人気あるし。
気遣ってくれる優希くんの優しさに甘えて、私はそっとタオルを彼に託した。
「ごめんね。ありがとう」
「ははっ、遠山さんが謝ることじゃないでしょ。忘れたあいつが悪い」