片想い同盟
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「おはよ、バカ拓海」
「あ?なんだその言い方」
次の日の朝。私よりも先に教室に着いていた拓海に、心を込めて挨拶をしてやった。
拓海は眉をしかめるけど、そんなの知らない。
「昨日はよくもやってくれたわね」
「は?……あぁ、あれか。よく言うよ。メロメロって顔しておいて」
「なっ……!私がいつそんな顔したって!?」
喧嘩を売れば、倍返し。
元はと言えば拓海が優希くんに私の存在を教えるから、余計に切なくなったというのに。
「よかったな。大好きな高野に手振ってもらえて」
「……一発殴っていいかな?」
だから嫌だったんだ。男友達に、よりによって拓海に、好きな人がバレるだなんて。
本人は協力したつもりだろうけど、そんなの余計なお世話だ。この恋は私1人でいい。誰かの協力なんていらない。