片想い同盟
ぱっちりした二重。通った鼻筋。太陽に照らされたブラウンの髪。
全てが愛おしいんだ。愛おしすぎて、切ない。
グラウンドの端から現れた女の子を見つけて、胸がキュッと痛くなった。
黒髪ロングな髪を2つ結びに束ねたその子は、栗色でパーマをかけている私のショートヘアとはまるでかけ離れている。
優希くんの目線は、一瞬でその女の子に向いてしまう。
見ていたかったはずの彼の姿をもう見ることはできなくて、私は窓から背を向けた。
優希くんの好きな人は、私じゃない。
「……帰るか」
鞄を肩にかけると、私は1人、教室をあとにした。
こんなのもう慣れた。
そのはずなのに、優希くんがあの子に向ける笑顔を見るたび、ひどく泣きたくなるのはなんでなんだろう。
『あいつ、好きな人いるぞ』
拓海の言葉がふと脳内で繰り返されたけど、私にはどうすることもできなかった。