片想い同盟
「ほーら、頑張れって。あとこの問題できたら数学おしまいにしてやるから。な?」
机にうなだれる私の頭を、わしゃわしゃと拓海の手が撫でる。
その手が気持ちよくて寝そう、だなんて言ったら怒られるだろうか。
憂鬱な体を起こして、再び数学と戦うためシャーペンを握る。
「ねーねー、唐沢くん。私たちにも勉強教えてくれない?」
そのとき。横からクラスメイトの子が話しかけてきた。
チラッと見るとそこには女子3人。うち2人は同じクラスだけれど、もう1人は他クラスの子だ。
テストが迫ったいま、放課後に教室や図書室に残って勉強する生徒は少なくない。
他クラスの友達同士で集まってやってるんだよね、きっと。