片想い同盟
「なんだー、残念。やっぱり唐沢くんと杏樹ちゃんはラブラブだね〜」
「まぁ、こいつがもう少し数学できたらみんなに教える余裕もあったんだけどな」
「あーはいはい、バカですみませんでしたー」
冗談を返しながら、拓海とクラスメイトたちでケラケラ笑う。
私たちは、このクラスの中ではもう公認のカップルのような扱い。
みんなにからかわれても、私たちは否定をしなくなったから。
実際のところ付き合ってるか付き合ってないかに確信を持っている人は少ないと思う。
否定もしなければ肯定もしていない。
そんな曖昧な関係だけれど、クラスメイトたちは私と拓海の仲の良さを尊重してくれているから居心地はよかった。