片想い同盟
好きだと自覚した直後から夏休みに突入して会えずじまいだったから、ちょっと考えたこともあった。
……この気持ちは勘違いなんじゃないか、なんて。
でも、どうやらそれは無駄な考えだったらしい。
だってほら、こいつがこんなにも愛おしく思えるなんて、すでに重症としか思えない。
「もう祭りは満喫した?」
「うん、みんなといっぱい遊んだよ。拓海は?」
「ん、俺も満腹食べたから満足してる。んじゃ、そこらへんぶらついて帰ろーぜ」
俺の提案に、杏はコクリと頷いた。
浴衣だからか、普段とは違ってちょこちょこ俺の斜め後ろをついてくる杏が新鮮で、可愛くて仕方ない。