片想い同盟
……うーわ、きもいな、俺。
今さらながらにそんなことを思う。
自分の知らない自分を見てるみたいで、なんだかくすぐったい。
「あれ、もしかして、拓海くん?」
会場を出ようとしたところで、誰かに名前を呼ばれた。
振り返るとそこにいたのは、どこかで見たことがあるような女。
「あ……っと、おー。久しぶり」
名前を呼ばれた手前、知り合いなのはたしかだと思うんだけど。
やべぇ、名前とか全然覚えてない。
「久しぶりだね〜。元気にしてた?……って、あれ、もしかしてカノジョ!?」
変にわかるふりをして挨拶してしまったばかりに、その女は馴れ馴れしく話しかけてきた。
挙句に後ろにいた杏にまで目をつけて、覗き込んでくる始末。