片想い同盟
そもそも、拓海とは同じ中学だった。
けれどこうして話すようになったのは、2年に上がって今のクラスになってからが初めて。
同じ中学とは言えど、3年間でクラスは一度も一緒になったことがなかったから、お互い「同じ中学だった」っていう顔見知りレベルだった。
なのに次は不思議と「同じ中学だった」という謎の親近感が湧いて、よく話すようになって。
「ほら、早く書けよ」
「うるさい。明日ジュース奢りならスピード上げてあげる」
「ふざけんな」
今ではこうした言い合いをするほどには仲良くなってきている、と思う。
「よし、でーきた」
日誌の空白が全て埋まると、我先にと拓海が日誌を手に取った。
「サンキュ。職員室には俺が届けるから、お前もう帰りな」
「ん。ありがと」
地味に優しいところもある拓海。と言ってもその真意の8割はきっと、早く部活に行きたいからだろうけど。