片想い同盟
あー、まじか。これは……。
「……気づいてたんなら、これ以上あいつのこと見んなよ」
ますます、客引きどころじゃない。
「ははっ。彼氏のくせに余裕ないな、唐沢」
ケラケラ笑うそいつに、「うっせ」とだけ返す。
余裕なんて、あるわけがない。
俺は杏の彼氏じゃないから。……まだ。
「あの〜。一緒に写真撮ってもらえませんか!」
「お化け屋敷やってるんですか〜?行きたいです!連れてってくださーい」
無駄に半音上げた女の声が耳に障る。
客引きなんて仕事じゃなきゃ、無視してさっさと退散できんのに、いまはそうはいかないのがまたムカつく。