片想い同盟


なんとか客を集めては教室に案内するを繰り返して、午前の部は終わりを迎えようとしていた。



「唐沢先輩、彼女いるって本当ですか〜?」

「あーはいはい、その手の質問は受け付けてねぇの。まずはちゃんとお化け屋敷ゴールしてな」


これで俺の担当は最後の1組であろう女2人組を連れて、また教室までやって来た。


さっきまで受付にはたくさんの人が並んでいたのに、昼だからか一気に空いている。俺がいま連れて来た彼女たちでひと段落しそうだ。



「はーい。この懐中電灯を持って入ってくださいね」


混んでいて見えなかった受付が見えいて、そこには相変わらず心配になる衣装を着ている杏が、慣れたように受付をこなしていた。


俺の案内した客も教室の中に入って行って、一息ついた杏と目線がバチッと合う。


< 314 / 341 >

この作品をシェア

pagetop