片想い同盟
準備運動を始めた拓海の元に、休憩に入った優希くんが近付いたのが見えた。
それから何かを話し始めて、拓海が校舎……つまり、私の方を指差す。
それにつられた優希くんがこちらを見て……。
「えっ、うそ」
目が、合った。
グラウンドに立つ優希くんが、校舎を、この教室を、……私を、見ている。
ニコッと笑ってこちらに手を振ってくれる優希くん。それは、胸が高鳴るには十分すぎるほどの破壊力で。
「がっ、頑張って」
この距離で聞こえるはずもないのに、私はついそう口にして手を振り返した。
あぁ、どうしよう。優希くんが好きだ。
恋だなんて縁のないことだと思っていたのに、こんなにも世界が変わって見えるなんて。
恋の力はすごいって友達から聞いてたけど、本当にその通りだと思う。