お試しから始まる恋
額と額をくっつけて、お互いに見つめ合うと言葉なんて必要なかった。
ギュッと颯にしがみ付いてくる冬子。
颯もギュッと冬子を抱きとめていた。
清らかな川の流れの中を泳いで、とても強い愛が入ってくる・・・
その愛を感じたとき、初めての痛みを感じる冬子だったが、ギュッと抱きとめてくれる颯の温もりを感じると痛みも忘れるほどだった。
痛みはやがて心地よい感覚に変わる・・・。
その中から、もっと強くて暖かい愛を感じる・・・。
これが愛し合う事なの? 好きだと言う気持ち・・それ以上に、愛すると言う事は体も心も喜ぶことなのだろうか?
冬子も颯も、もう何も考えられなくなり。
ただ心地よいエネルギーだけを感じていて。
「愛しているよ・・・冬子・・・」
愛していると耳元で囁かれると、冬子は素直に嬉しかった。
でもこれはお試し・・・
これが最初で最後かもしれない。
それでもいい・・・この喜びを忘れない・・・。
颯にしがみついて、冬子はそう思った・・・。
お試し。
そう言われても、どこか怯えていた冬子だったが。
今は颯に笑顔を向けられるようになっていた・・・。