俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


水族館のあとは駅近くにある大型ショッピングモールで服を見立ててもらうことになり、いろいろなショップを見て回った。

毎回会うときはおしゃれなので涼真は服を見ることが好きなのかと思ったけれど、本人はあまりファッションに興味がないようで、いつも適当に選んでいるらしい。それでオシャレに見えるのだから、彼の魅力は服装に関係ないということだと感心する。

「さっきのワンピース、今度のデートで着て来てよ」

ショッピングを終えると、流行のイタリアンで食事をし、いまは車で涼真がメインで照明の設計をした橋に向かっているところだった。

「似合うかなぁ。普段、あんまりピンク色とか着ないから」

涼真が言う“さっきのワンピース”は、ショッピングデートのときに私に似合うと言って買ってくれたものだった。

淡いピンク色のシフォン素材で、ふんわりと描いたAラインが女性らしくて可愛らしいもの。私ひとりでショッピングしていたら、絶対選ばないし、同じワンピースを買うなら色違いのネイビーを選んでいるところだった。

「似合うよ。さっき試着したときに、自分でもなかなかイケるって思ったでしょ? ホント、すっごいよかったから」

夜道で周囲の安全に気を配りながら、力説してくれる。

「ありがとう。じゃあ、今度でかけるときに着てみるね」

言いながら、次の約束ができることにホッとする。こうして会う約束をするのだから大丈夫、私と一緒にいてくれるのだから大丈夫。

何度も心の中で呟いていると、胸が切なく痛んだ。


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