俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「よし、ついた」
嬉しそうな声をあげると、涼真は車を駐車場に停めてサイドブレーキを引いた。
「橋からちょっと遠いみたいだけど、ここから見るの?」
「そ、穴場。ここからが一番きれいに見えるんだよ」
橋の側で、夜の海風を浴びながらロマンチックに眺めるのかと思ったけれど、やってきたのは小高くなった公園。眼下には真っ黒な海が広がり、その向こうにキラキラと輝く橋が見えている。
いつもは白色のみのライトが、今は期間限定でレインボーカラーのグラデーションが左から右へ波のように流れていく。橋の側は水面にその明かりが映り込み、月とともに美しい光景となっていた。
「きれい……」
さすが設計にたずさわっただけある。
「平常時はここより橋の側のほうが迫力もあって断然いいけど、いまはウェーブっぽくライトが変化してるでしょ? せっかくだから全体を楽しめたほうがいいなって思ったんだ」
公園の外灯に照らされて涼真の横顔は、遠くの橋を見ているようで、設計した当初を思い出しているようでもあった。
「涼真はこんなすごい仕事してるんだね」
「お、褒めてくれるの? ま、それ言ったら百音もすごい仕事してるし、ほかの人だって誰だって、みんなすごい仕事してる。それぞれマネできないし、どれが欠けても困るよ」
涼真の言葉にはウソやお世辞がなくて、ただ周りの人を尊敬している。自分の魅力を知っていて、だからこそほかの人の魅力にも気づけて、誰とも比べない。彼のいいところだ。