俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「……ね、今日なんか悩んでない?」
「え?」
風が吹き、乱れた髪を耳にかけていると涼真にたずねられた。
「いや、あんまり元気ない気がして。ときおり物思いにふけるっていうか。もしかして、こういうデートらしいの、そんなに好きじゃなかった?」
「う、ううん、全然。前みたいなアクティブなのも好きだけど、こういうロマンチックなのも楽しいよ。べつに、なにか悩んでるわけじゃ……」
否定しようとして、言葉を濁してしまう。
「言いたいことあるなら言ってみ?」
さらに顔を覗き込まれると、もう鼻先と鼻先が触れてしまいそうなほどになった。
「その……っ、涼真はやっぱり同じ職業の女性のほうがいいんじゃないの?」
「へ?」
私がたずねると、すぐ目の前にあった涼真の瞳がクリッと見開かれた。
「話が合うし、こういうところに一緒に来たら次々にアイデアが浮かぶかもしれないじゃない」
「なに言ってんの、俺は百音とも話が合うって思ってるよ。それにアイデアなんて自分で絞りだすし、いまだって考えれば新しいアイデア浮かぶよ。百音はどんなライトアップしたら喜ぶかな……とか。そういう考え方だってある。同業者と話さなくたって、アイデアが浮かぶかどうかなんて本人しだいだよ」
「それはそうかもしれないけど……」