俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


大通りを走り続けると、景色は高級マンションが立ち並ぶ界隈へと変わりはじめた。

「このあたりに涼真の家があるの?」

「そ。まぁ、家っていうかマンションだけど。どれか当ててみて?」

「この中のマンション……」

運転する涼真の横顔は楽しそうだけど、とてもじゃないけど私は冷静でいられなかった。

「もう見えてるよ」

「見えてるって……視界に入るマンション、全部すごい値段じゃない?」

私の質問に、涼真はただ微笑むだけだった。

スーパーゼネコンである閂建設で働いているし、一級建築士の資格はあるとはいえ、涼真はまだ役職もついていない平社員。

ファッションには興味がないので服装にお金はかけていないのかもしれないけれど、飲み会はきっと多いはず。それなのにこんなマンションを買っているなんて……。

「残念。もう正解、教えちゃうね」

「えっ、ここ?」

正直、一番ないだろうな……と思っていた、ひときわ高いマンションの駐車場へ続く地下スロープへと入っていく。

このマンションができた当初、豪奢なエントランスとバーやジム、ビリヤード場の設備などが話題となり、芸能人も住んでいると話題になった。マンションに興味がなかった私でも場所を知っているくらいのところだ。

「働きすぎて頭おかしくなってたのかな。急に将来が心配になってきて、閂に勤めだして三年過ぎたくらいにノリで買っちゃったんだよね」

「ノリでって……」


< 113 / 123 >

この作品をシェア

pagetop