俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
そんな軽い気持ちで買えるものではないはず。車から降りると駐車場には高級外車がズラリと鎮座していた。
場違いだと感じるのに、涼真には自然と馴染んでいて、彼があまりにも普通にいるから私もその中に入れる気がする。
「大丈夫。学生のとき、がむしゃらにバイトしててそのお金も貯めてたし、いまだって結構働いてるでしょ。服にはそんなお金使わないし、百音がいるから飲み会だってそんなに行かなくなるよ。それに、まだまだ上にいくつもりだしね」
唇からニッと白い歯を覗かせると、私の前を歩きだす。背中がとても大きく見えて、頼もしく感じた。
涼真に促されてエレベーターに乗り込むと、木目が鮮やかな壁によく磨かれた鏡があってその中からすでに高級感があった。
最上階とはいかないもののかなり上の階のボタンを押すと、エレベーターは静かに上昇する。
「なんか、緊張してきた。まさか、涼真がこんなところに住んでるなんて……」
きっと涼真から見れば借りてきた猫状態になっているだろう。
「惚れ直した?」
「うーん、それはべつに」
涼真の魅力はそこじゃない。お金とか名声とか、そういうものじゃなくて人間性だ。
「えー、もっと好きになってもらえるかと思ったんだけどな」
そう言って、オーバーリアクションに感情を表現してくれるところに、私は惚れ直してしまう。