俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


スタジアムの中に入ると、サッカーチームのカラーなのか紺と赤が配色されたタオルやユニフォームを見に着けている人ばかりがいた。

フィールドに近い席はほぼ埋まり、選手にエールが届くようにとフラッグを掲げたり、応援歌を歌っている人たちがいる。

天井がぽっかりと開いたスタジアムからは真っ青な空が見え、アウェー側なのか、向かいの席の上のほうは空席が目立っていた。

用意されていた席はやっぱりいいところで、初心者がこんなところで観戦してもいいものかと恐縮しながらシートに座った。

「かなり盛り上がってるね。すげぇ楽しめそう」

声を張り上げている周りの人たちとの温度さを感じている私とは違い、涼真は応援している人たちを楽しそうに眺めていた。

「どうやって応援したらいいんだろうね。俺も前来た時は一番後ろでとりあえず観てる感じだったから、マナーとかわかんないんだよな。よし、訊いてみようか」

「えっ、そんな……」

応援の仕方もわからずにやってきたと思われて、逆に訊かれたほうが不快にならないだろうか。心配する私をよそに、涼真は隣の人にさっさと声をかけていた。


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