俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「すみません、はじめて来たんですけど、掛け声とかあるんですか?」
紺と赤のユニフォームにタオルを首から下げ、手にしているフラッグだけではなく、足元に置いたバッグやそこから見えるスマホケースまでグッズで揃えた男性は涼真の質問に目を丸くしたあと、丁寧に教えてくれた。
「ありがとうございます! めいっぱい楽しめそうです。えーっと、チャント?ですかね。種類多そうなんで、少しずつ覚えますね」
にっこり笑ってお礼を言うと、今度は私に教えてくれる。
「涼真って怖いものなしなんだね」
「ん? いまの?」
たずねる涼真にうなずくと、不思議そうに首を傾げられた。
「わからなかったから聞いただけだよ。聞かれたほうも、よっぽどの意地悪じゃなきゃ楽しもうとしている人に教えてくれるでしょ。俺だったら、自分が好きなものを一緒に好きって言ってくれる人が増えるのは嬉しいもんね。だから楽しみ方を教えてあげる」
「それは、そうだけど……」
「あ、でも百音のことを好きな人が増えるのは困るから、そこはちょっと考えるかな。かといって、悪口言うのはできないし……」
本気で悩んでいるのか、腕組みして唸りだしたので「その話はいいから」と笑って遮った。