俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「それじゃ、帰ろうか」
車のギアをパーキングからドライブにし、ゆっくりと発進する。
「……はい」
本当はもっと一緒にいたい。まだ夜ははじまったばかりだし。なにより、もう少しだけさきに進みたい。
大切にされている。好かれているだというのも伝わってくる。だけど、もっと感じたい。肌で、熱で感じたい。
それを口に出す勇気はなくて、ただ無言で行儀よく座っていると、車の通りが少ないところで路肩に駐車した。
「涼真?」
どうしたのかと、涼真のほうを向いた瞬間。
「っ、ん……!」
うなじに手を添えられ、奪うように激しく口づけられた。重ねた瞬間から熱く、舌をねじ込まれると苦しいほどに求められる。
「ぁっ、んぅ……りょ、涼真……」
「ん……、だからあんまり可愛い顔しちゃダメだって。大切にしたいって思ってるのに、歯止めが効かなくなる」
もう一方の手で私の輪郭に触れ、親指でそっと頬をなぞられる。
「か、可愛い顔なんて……っ、んんっ……!」
再び強引に唇を塞がれ、その甘く痺れるような快感に身を預けたくなってくる。
歯止めなんて、なんのためにしているのか。こんなにも気持ちが通じ合い、お互いが求め合っているのに。
もどかしくてたまらず、涼真の腕にそっと手を添えて服を握ると、じっと見つめ返された。
「百音……?」
私の様子を探るように、熱っぽい視線が注がれる。少しだけ目を合わせると、目眩がしそうなほどの色気が漂っていて、すぐに逸らしてしまう。
「……どうなっても知らないからね」
気持ちを伝える前に、涼真は離れると車を発進させた。