Romantic love
居眠りしたりしながらも、4限の授業までちゃんと出席して、それからまっすぐ帰路についた。

家に着いたら5時半過ぎだった。

──あれ?

今日なんか用事なかったっけ?

コートを脱ぎながら壁の時計を見た瞬間に、ふとそんな疑問が頭をもたげた。

でも今日はバイトもないし、友達と遊ぶ予定も入れていない。

どうしても見なきゃいけないテレビ番組なんてのもないし……。

おかしいな、何か大事な用事があった気がしたんだけど。

まあ思い出せないし、気のせいかもしれない。

そういえば明日、実家から送ってくれたお米やらなにやらが、宅配便で夕方6時以降に届くってお母さんが言っていたから、それと勘違いしたのかも。

そう思い直して脱ぎかけていたコートを脱ぎ、クローゼットに掛けに行った。

クローゼットを開けても、もう朝みたいに謎の涙が出ることはなかった。

でもなんだか……胸がきゅうっと締め付けられるような気持ちになった。

悲しいような切ないような、まるで何かに恋い焦がれるような、そんな気持ち。

部屋着に着替えてこたつに入ろうとした時も、また同じように胸がざわざわした。

もうわけがわからない。

なんだろう、精神が不安定なのかしら。

そんなに疲れていないと思うんだけど。

それとも心臓の病気だったりして。

やだ、怖い。
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