私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「えっと、お疲れ様です」

『うん』

「お仕事頑張って、偉いですね」

『それから?』

それからとか言われたって、困る。

『あー、京屋部長ー。
誰と電話してるんですかー』

携帯越しに女性の声が聞こえてきて、びくんと肩が跳ねた。

『……離せ』

『えーっ、もっと飲みましょうよー』

心臓の鼓動がどくん、どくんと妙に大きく響く。
佑司は、嫌がっている。
それに絶対そんなことないって信じている。
でも、――それでも、彼に女性が纏まりついているが、たまらなく嫌だった。

ああそうか、佑司もきっと、こんな気分だったんだ。

『左手に指環している男に媚びうるとか、お前、あたまおかしいんじゃないか』
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