私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
ピキッと、携帯の向こうで空気が凍る。
そのままバタバタと足音が遠ざかっていった。

『悪い、チー』

「い、いえ。
いいんですか、いまの」

自分の声が引きつりそうになるのがわかる。

『知るか。
あれが嫌で出てきたっていうのに。
……ああ、ほんとに悪い』

もしかして。
いままでさんざん、こういう嫌な目に遭ってきたから佑司は、指環を左手につけることに拘ったんだろうか。

『チー?』

「あ、いえ。
佑司も大変ですね」

『ほんと、勘弁してほしい』

はぁーっと佑司の口から落ちるため息は重い。

『あんま出てられないし、そろそろ戻るわ。
少し充電できたし、なんとか我慢できそう』
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