私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「メーカーの担当がやっと捕まった」

「それで」

僅かな希望に縋るように、みんな佑司を見つめる。

「喜べ、……絶望的だ」

なんで絶望的なのに喜べ、なんだろう。

度重なる電話でようやく出たメーカーの担当は飲んでいた最中で、すこぶる機嫌が悪かったようだ。
彼曰く、社長が非公式にこういうのはパフェ型の方が好み、なんて言ったので、竹村課長が勝手に指示を変えてきたらしい。

……ほんと、恨むよ?

「社運がかかったプロジェクトでやらかしてくれるなんて、今度こそ竹村サンは会社にいられなくなるだろう。
よかった、よかった」

確かに、いいかもしれないよ?
あの問題児の竹村課長がいなくなるかもしれないなんて。
でもいまはそんなことを喜んでいられないほどピンチなのだ。

「俺としては逆境に打ち勝って飲む勝利の美酒ほど、うまいものはないと思うんだが……どうだ?」
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