私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
バタンと勢いよくスーツケースを閉め、軽々と持ち上げて玄関へと歩いていく。
が、数歩いったところでいまだに立ち尽くしている私を振り返った。

「あ、貴重品は忘れんなよ」

「えっ、あっ」

慌てて通帳や印鑑を掴み、その後を追う。

「私まだ、そうするとか言ってないないですし」

「だから、チーをこんな危ないところに置いておけないって。
まあ、俺が出す条件のところに引っ越すなら別だけど」

トランクにスーツケースを積み込み、佑司は車に乗り込んだ。
仕方ないので私も助手席に座る。

「条件、って?」

私がシートベルトを締めたことを確認し、佑司は車を出した。

「女性専用、オートロック、管理人常駐、監視カメラあり。
これが最低条件。
あとできれば駅から徒歩五分以内で築五年以内」

「うっ」
< 76 / 312 >

この作品をシェア

pagetop