私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「これなら恥ずかしくないだろ」

いや、これだって十分恥ずかしいんだけどね?
腕を組んで歩くことを強要されるよりはずっとましなので、妥協することにした。

「手ー繋いで歩くとか新鮮だよなー」

楽しそうに繋いだ手が上下に揺れる。

「え、もしかしてずっと腕を組んで歩いてたんですか」

「そうだけど」

なんかおかしい?って感じに、佑司の首が傾く。

いくら色恋沙汰に鈍い私でもわかる。
手を繋ぐだなんて段階をすっ飛ばして腕を組んで歩くなんて、初彼だったら絶対にありえない。
この人、もしかしてずっとそういう恋愛をしてきたんだろうか。
だから、スパダリ的言動になってしまったとか?

手を繋いだまま佑司と歩く。
少し歩いて、洋服店に連れ込まれた。

「チーに似合いそうな奴……」

なんだか知らないが、佑司はぶつぶつ言いながら真剣に悩んでいる。
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