きみのひだまりになりたい


そわそわと結果を待ち望めば、小野寺くんはためにためてブイサインを見せびらかした。努力が報われたのだ。




「ばっちし! 大差で圧勝!」


「おお! やったね! 幸先いいね! ホームラン打った!?」


「ホームランっつーのはな、ほいそれと打てるもんじゃねぇよ」


「なあんだ」


「なんだとはなんだよ。ひでえやつ」


「小野寺くんも試合に出たの?」


「ああ。1年ときから出てんのはおれだけなんだ!」




へへんっと小野寺くんは鼻高々に自慢する。リュックの中からユニフォームを引っ張り出して、証拠を見せてくれた。ユニフォームの背には大きく「3」の文字。ポジションは、三番ショートらしい。


入部したてのころからずっと選抜され続けるレギュラー。その肩書きは軽いものじゃない。期待の星だ。すごいなあ。かっこいい。




「朝也こそ、その才能をやっかんでチームメイトから何かされたりしてないの?」


「ねぇな」




即答だった。陽気に笑っている。ひよりんは意表をつかれたようにぱちくりとまばたきをした。

小野寺くんはていねいにユニフォームをたたんだ。袖を折り、ぱたんと生地を合わせる。ごつごつとした大きな手は、どこまでも繊細にユニフォームを扱っていた。




「おれ、別に、才能ねぇし。チームメイトもそのことを知ってるしな」


「え……!?」


「朝也、運動神経いいのに!?」




体育の授業で、小野寺くんが運動神経バツグンなのは把握済みだ。五十メートル走のタイムも、シャトルランの回数も、クラスでいちばんだった。筋肉のついた体格を思う存分に活かし、どんな授業内容でも人並み以上こなしている。


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