闇に溺れた天使にキスを。
*
帰り際、平沢先輩と足立先輩に挨拶をしてから行きに降りた場所へと向かう。
私の前には涼雅くんが歩いており、ふたりになると少し緊張してしまう。
少し薄暗い中、彼の銀髪はよく目立っていた。
外に出れば、私が行きに乗った車が停まっており。
運転手さんも変わっておらず、同じだった。
「ほらよ」
「あ、ありがとう…」
涼雅くんがドアを開けてくれ、私を先に乗せてくれる。
エスコートされているようで、お嬢様にでもなったみたいだ。
そのため、少し恥ずかしい。
私が助手席の後ろに座ると、真ん中をあけて運転席の後ろに涼雅くんも座る。
「じゃあ、悪いけど白野の家の近くに何か目印になるものとかある?住所聞くのはなんか気が引けるし」
少し律儀というか、意外と真面目なところがある涼雅くんに驚きつつ。
「家まで送ってもらう必要はなくて、あの…ここから近くの駅で十分で」
「俺が佐久間に締められるだろ?
ダメだ、せめて最寄駅だな」
私を最寄の駅まで送らないと、神田くんに締められてしまう?