闇に溺れた天使にキスを。



「だから、涼雅くんだけが……神田くんと普通に話せていたんだね」


他の人はどことなく彼を恐れ、そして敬語を使っていた。

トップであるはずの彼も周りに敬語を使う中、涼雅くんとは敬語をなくして話している。


それは同い年だからという意味以外にも、理由があるのだ。



「まあ、それはなんていうか…俺は族の中では拓哉の次だから、年上にも敬語使わねぇけど。

拓哉はまじで特殊。総長のくせして、年上には絶対敬語」


俺なら絶対無理だ、と言い切り小さく笑う涼雅くん。


「俺が敬語を使うのは、年上の中でも強い奴らだけ。
悪いけどそういう性格してるから。まあ拓哉は別だけどな」


神田くんは別ってことは、つまり。
涼雅くんは、神田くんが自分よりも上だと認めている。


「俺は拓哉と長年一緒にいて、支えたいと思ったし尊敬もしてる。あいつ、すげぇよ」


私の前で涼雅くんが神田くんのことを褒めるから、変な感じがした。

私が聞いてもいいのかなって。

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