闇に溺れた天使にキスを。

「お前、俺がなんでこんな話してるかわかってるか？」


本当にわからなかったから、首を横に振る。
だって私が聞いていい話じゃない気がするから。

けれど涼雅くんは、私の反応を見て大きなため息をついた。


「…このバカ」

「そ、そんなこと、言われても…踏み込んだらいけない、気がするから……何も関係ないのに、容易にそんなこと聞くのは」

「お前だからいいんだよ」


思っていることを素直に言えば、涼雅くんが話を途中で遮るようにしてはっきりと言い放った。

私だからいいのだと。


「……どうして？」
「ここ数週間で、拓哉をあんなんにしただろ？」

「わ、私は何も…」

「お前、すげぇよ。今まで俺でも変えられなかった拓哉を、一瞬で変えたんだから」


変えた？

神田くんは私と関わりを持つようになって、変わったというの？


どんな風に変わったのかは、よくわからないけれど。
涼雅くんはどこか嬉しそうな表情をする。