闇に溺れた天使にキスを。



「だから、俺はお前を信用する」
「信用……」


私は涼雅くんに信用されたの?


真意を確かめたくて、涼雅くんの顔をじっと見つめていたけれど。

先に涼雅くんが顔を背けてきた。


「……っ、そんなガン見すんな」
「が、ガン見…!?」


涼雅くんにそう思われていたのだと知り、頬が少し熱くなる。


「ご、ごめんね…!」

なんだか恥ずかしくなったため、私も視線を前に向けた。
それから沈黙が流れ、少し気まずくなる。

涼雅くんのほうを見ようにも、またガン見したと思われたら恥ずかしいため見れない。


なんとなく窓の外に視線を向ければ、そこはまだ廃れた建物などが多く、治安が悪そうな場所に見えた。


行きは気づかなかった。
総長に会うという恐怖でいっぱいだったから。

そこまで余裕がなかったのだ。


「ここ、ひとりだと危ねぇだろ?」

すると沈黙を破るようにして、涼雅くんに話しかけられた。


突然のことで思わず肩がビクッとはねてしまったけれど、慌てて言葉を返す。

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