闇に溺れた天使にキスを。



「まあでも、そこまで不安になる必要はねぇ。お前を危険な目に遭わせるなんて、拓哉が許さねぇだろうし」

「で、でも…私なんか邪魔だろうから」
「拓哉がお前を連れ込んでおいて、それはねぇだろ」


はっきりと言い切る涼雅くん。
本当に私は邪魔じゃないの?


「最初は私が神田くんの刺青見ちゃったんだよ?」


責任は私にある。
知られたくないであろう秘密を知ってしまったのだ。


「そんなこと言われてもな?
拓哉からの命令だし」

「命令…?」

「お前に身分を明かせって。
自分から言えばいいのに、俺に頼んできた」


ズボンのポケットに入っていたスマホを取り出し、車に乗る前に連絡が来たのだと説明される。


身分とは、ヤクザのことだろうか。
そんなのどうして私なんかに───



「拓哉が暴走族の総長やってることも、組の若頭なのも、さらには偽名を使ってる理由も全部知ったな?」


含みのある言い方に、嫌な予感がする。

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