闇に溺れた天使にキスを。



「とにかく拓哉は目立つ。見た目は真面目そうなくせに、存在感がデカイ。だからお前、本気で気を付けねぇとすぐ人質にとられるぞ」

「わ、わかった…気をつけるね」

「あと一番はひとりでウロウロしねぇこと。お前の見た目なら、すぐ捕まるだろうから」


見た目?
神田くんと関わりを持っているのが原因じゃなくて?

意味がわからなくて、首を傾げて質問する。


「見た目のせいで捕まるの…?」
「ああ。お前だとすぐ男の目につくから」

「目につく…それも人質?」
「いや、見た目で捕まったら確実に襲われる。てかお前、人質だったとしても気に入られて襲われるだろうな」

「……っ!?」


おそ、われる……?
それってとても危険なことじゃないだろうか。


「捕まって、ビクビク怯えながら泣いてたら、そりゃ敵は嬉しいし襲いたくなる」


もっと泣き顔を見るために、と怖いことを平気で口にする涼雅くん。


「や、やだよ…」
「じゃあ今日みたいにひとりで帰ろうとするなよ?」


捕まって襲われてしまうのだと想像したら怖くて、何度も頷く。

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