闇に溺れた天使にキスを。
「……っ、あの」
「うん」
「神田くんがいなくて、寂しかった……から、ご褒美なんてあげない。私がほしい」
目を細め、優しく笑いながら。
頭をぽんぽんされたり、撫でられたいなって。
淡い期待を抱く私。
けれどタイミングよく、電車がくるアナウンスがホームに流れる。
「……続きは放課後だね」
どこか色っぽい言い方をされ、ドキドキしてしまう。
「久しぶりに白野さんとふたりって、歯止めきかなくなりそうだなぁ」
「歯止め…?」
「白野さんが恥ずかしがることばかりしそう」
ごめんねと謝られたけれど、それどころではない。
「絶対嫌だよ、恥ずかしいことしないで」
「かわいい白野さんが悪い」
「かわいくないからしないでよ」
「白野さん次第だよ。ちゃんと警戒してね」
警戒するくらいなら、神田くんとふたりきりにならなければいいんじゃないかと思ってしまう。
もちろんそれは嫌だけれど。