闇に溺れた天使にキスを。
*
【明日の朝は一緒に行けないです。ごめんね】
その日の夜。
泣きそうになりながら、神田くんに送ったメッセージ。
宮橋先生と一緒にいるところを見てしまった私は、神田くんに対していつも通り接する自信がないため。
明日の朝は一緒に行かないことにした。
【そっか、わかった】
意外にもすぐ彼から返信が来て。
わかってはいたけれど、肯定する返信だった。
もしかして今もまだ宮橋先生といるのだろうか。
黒いスーツ姿の彼は、誰が見ても“大人”にしか見えないだろう。
こんな子供っぽくて幼い私なんかよりもずっと、宮橋先生のほうがお似合いだった。
ふたりが遠くに感じて、苦しくなって。
その日の夜は中々眠れないまま、朝を迎えた。
「……ひどい顔」
洗面所の鏡の前に立てば、げっそりとしている自分の顔が映る。
昨日のことで落ち込んで、ひとり苦しくなって。
このままでは沙月ちゃんやお兄ちゃんに何か聞かれるかもしれない。
今日の朝は珍しくお兄ちゃんが起こしに来なかったため、救われたけれど。
そのため、私はメイクをすることにした。
いつもはしないけれど、今日はあまりにも自分の顔が酷すぎるため仕方がない。
顔色の悪さを隠すようにメイクをして。
血色よく見せるため、ピンク色のチークもした。