闇に溺れた天使にキスを。



「でも、ここベッドで…」
「ベッドだと、何かいけないの?」

不思議そうに聞いてくる彼。

そのため、本当に純粋な意味でそこに座ったのだと信じてしまった私は彼の隣に腰をおろした。


少しの沈黙がふたりの間に流れる。

けれど私からは話すことなんてないし、昼休みのことには触れたくないと思った。


きっと容易に触れてしまえば、自分の身が危険に晒されてしまうような気もして。


「……さっきはありがとう」

ひとり、心の中でどうしようかと考えていたら、沈黙を破るようにして神田くんが口を開いた。

ひどく落ち着いた声。
感情がうまく読み取れない。


「えっと…」
「俺のために、あんなことしてくれて」


“あんなこと”。

抽象的な表現だったけれど、どれを指すのかだなんて言われなくてもわかる。

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