闇に溺れた天使にキスを。
「あの、神田くんどこに行くの?」
「うーん、どこがいい?」
「えっと、教室に戻りたくて…」
「それはダメ」
ダメって優しく断られたら、もう何も言えなくなる。
結局場所を聞けないまま彼についていけば、昼休みにも行った保健室へやって来た。
「失礼します」
彼は何のためらいもなく、保健室のドアを開けて中に入る。
「あ、ちょうど良かった。
中に誰もいない」
「え…先生は?」
保健室の先生は、美人で色気満載の人だって有名。
実は他校にも名が広がるほど。
本当かわからないけれど、最初の頃はその先生目当てでわざとサボる人たちもいたらしい。
「職員室にでも行ってるんじゃないのかな?」
そう言っている間にも彼は足を進めていき、ソファにでも座るのかと思いきや───
「あ、あの、神田くん」
「ほら、早く座って?」
なぜかベッドに腰をおろしてしまう彼。