闇に溺れた天使にキスを。
「ああ、これ?
これは華さんが俺にってくれたんだよ」
華さん、とは保健室の先生である宮橋(みやはし)先生のことだ。
気になって調べてみたら、養護教諭の欄に【宮橋 華】と確かに書かれていた。
「宮橋先生が神田くんに…?」
そんなこと、できるの?
先生が生徒に鍵を渡すだなんて。
「ここだけの話、華さんは結構なやり手だから」
結構な、やり手……。
あの色気満載のスタイルを思い出してして変な方向へと繋げてしまい、そんなことを考えてしまう自分を少し恥ずかしく思っていたら。
「……あ、もちろん変な意味じゃないよ。言葉とか行動とかで、相手の信頼を勝ち取るのが得意ってこと」
神田くんの言葉で、ひとり誤解していた自分がさらに恥ずかしくなり、今度はぶわっと顔が熱くなってしまった。