next season
「日高さんありがと~。俺惚れちゃいそう。」
「馬鹿言ってるなよ。」
こんなリップサービスにいちいち反応してんじゃねえよ
我ながらどうとでも動く口
誰が惚れるか
こんな彼氏のお荷物にしかならない女に。
一体どんな手を使って颯太に進路を変えさせようとしているのか
それだけは気になるけど
あとは浮かれてる翠の働きに期待しようか
あまりアテにならねえけど、彼女以外に間違いなく颯太の一番近くに居る女だもんな
学校のテリトリー以外に入り込まない事には見えない部分があり過ぎる
俺達が何処までも着いていったら嫌だと離れてくれねえかな
颯太に自分は釣り合わねえと自覚しねえかな
願わくば翠に譲ってくれねえかな
「彰良ぐうぜん~、暇?」
別の日の帰り道
駅前で、いきなり絡まれた腕に思考が止まる
体育館に群がってた誰か
「・・・。」
押し付けてくる胸に面倒な事とりあえず放り出す
「暇だけどー、俺、汗臭いんだけど。」
「じゃあ、シャワー浴びに行こっ。」
・・・簡単すぎる話に乗る、
ほんと楽。
こんなのが面倒くさくなくて良い。
「彰良ー、どこにする~?」
「ん~?どこでもー・・」
どうせすることは一緒だし。
気持ちも何もない言葉が漏れそうになって口を閉じる
あれから数日、颯太はあれきり大学の話は俺にしてこない。
どうなったんだか、顧問に怒られて考え直したならいーんだけど・・
漠然としたもやもやにまとわれていた
陽が伸びて来た今は部活が終わっても明るくて。
女は暑苦しいのに腕を回してくる
颯太の滑らせた言葉は俺の中にひっかかったままで
あの女が何を言ったのか、と
そんな女の事でバスケを切ろうとした颯太とに
俺はむしゃくしゃしたままだった
気晴らしにもならねえけどガス抜かねえと腐りそうだ
って、人のせいにしてるけど健全な男子だもの。いた仕方なし。