天然たらしが本気を出す時。

彼を見た瞬間ハッとして、後悔の念に押しつぶされそうになる。


私はなにをしてたんだああああ!!

七瀬くんをほったらかしてりんご飴をもらおうとしてたよ自分!

いい気になって顔緩んでたよ自分!




「りんご飴なら俺が買ってあげるから、それはお兄さん達に戻して。ほら。」


「はい…」



七瀬くんちょっと怒ってる…。

そりゃあそうだ。
これは完全に私が悪い。バカな私が悪い。




「え、え?」

と七瀬くんの登場に困惑するお兄さん方はなぜか私の腕を掴んできた。



しかし七瀬くんを怒らせてしまったのではと心配する私はそれどころではなく、一人悶々と自分のやらかしに沈んでいると







「小菜。おいで」






そう言って優しく微笑み手を伸ばしてくる七瀬くん。

そして気づけば自然と体が動き彼の手を取っていた。

なまえ…呼ばれた…。








「あ、彼氏さん…」

「ごめんね彼氏いると思わなくて!
しかも超イケメン。。
俺ら退散しますね!」


お兄さん方は七瀬くんを見て気まずそうに帰って行った。

これは七瀬くんとお兄さん方、両方に悪いことしたのでは。








そのあと本当にりんご飴を買ってくれた七瀬くんと近くのベンチにお座り。








「はい、状況説明」

「ま、迷子と間違えられまして…」

「うん、それで?」

「可愛いねとおだてられまして…」

「うん」

「褒められることがあまりないので 嬉しくなってついて行きました…」





私がそう言えば七瀬くんは「はぁ」と顔を手で覆いため息をついた。





「ごめんなさい…」



七瀬くんにこんな顔させるとかとんでもないことをしたのでは。。



完全にこちらに非があるのだからもう謝り倒すしかない。

そう思い、土下座する勢いで謝ろうとした、のだけれど






「本当、橘さんと居ると飽きないよ…っ」

七瀬くん、大笑い。


「え、えぇ…」

私、困惑。





こ、これは怒ってない…?
お腹抱えるレベルで笑ってるから大丈夫な感じ…?
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