インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「モモと手繋ぐの、何年ぶりだろ」

「たぶん……20年ぶりくらいかな……」

「そんなに?」

「うん、幼稚園には手を繋いで通ってたけど、小学校に上がったら繋がなくなったから」

「そっか」

あの頃はお互いに小さな手をなんのためらいもなく繋いでいたけれど、大人になった今は指先を少し握るだけでも照れくさいし恥ずかしい。

だけど子どもの頃から一緒だったせいか、尚史の手はなんとなく安心感もあるような気がする。

「慣れてきたらちゃんと繋ぐから……今はこれで勘弁して欲しいんだけど……」

「わかった、そこはモモのペースに任せる。でもなんか……やっぱ、ちょっと照れるな」

さっきは私の肩を抱き寄せて頭を撫でたりしていたくせに、なんでちょっと指先を握られただけで照れるんだ?

もしかしたら、私の方から手を繋いでくるとは思わなかったから動揺してるとか?

その辺は本人にしかわからないけれど、照れくさいのは尚史も同じらしい。

「まさか大人になってまた尚史と手を繋いで歩くとは思ってなかった」

「まぁ、そうだろうな」

尚史もきっと『まさかモモと仮想カップルになるとは思ってなかった』とか、私と同じようなことを考えているんだろうな。

< 118 / 732 >

この作品をシェア

pagetop