インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
ひたすらターゲットを見失わないように後ろ姿を追い掛けて同じ店に入った瞬間、私と尚史は二人してフリーズした。

店内にはフリルやレースを施された色とりどりの女性物の下着が、ところせましと陳列されている。

ターゲットと同じ店に入ることばかりに必死になって飛び込んだ店は、ランジェリーショップだった。

店内には女性客だけでなく、カップルで訪れた男性の姿もチラホラと見える。

尚史は顔を真っ赤にして私の手を強く握りしめた。

「尚史……どうする?」

「こっ……これはちょっと……」

「……だよね。とりあえず出よう」

私たちはあわてて回れ右をして、急いで店を出た。

少し離れた場所で立ち止まり、二人同時に大きく息をつく。

「ビックリしたね」

「さすがにあれはな……」

「尚史は今までの彼女と一緒に下着を買いに行ったりしたことはないの?」

「あるわけないだろ」

「ふーん、そうなんだ」

本物のカップルだとしても、私は彼氏と一緒に下着を選ぶなんて恥ずかしいし抵抗があるけれど、世の中には仲良く下着を選ぶカップルもいるらしい。

ああいう店で彼氏好みの下着なんかを買うんだろうか。

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